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■ 世界は0と1を食べて動く
■ 点滅(負け)
■ あ、は、は
■ 点火
■ 唯一つ

■ 演繹世界
■ ルーツでありルート
■ 流世の語り
■ 一時停止の観測
■ 花火/いつかの

■ モーニングティー
■ 「誰の」
■ 林檎葬
■ 上げた声
■ 月を見て泣こうよ

■ 花散り
■ 仮想現実の実感
■ エイチピイ












































「世界は0と1を食べて動く」


勉強もおっぽり出して寝転ぶ
天井の丸い蛍光灯に それを握るように手を翳す
指のすき間からこぼれる光に 少し目をつむり
ポジティブな何かを掴む感覚
熱はその手に伝わらないけれど

***

熱はその手に伝わらないけれど
モニターの映す現実 (現実感はない)
頭の中に入ってくる情報 (世界は0と1を食べて動く)
「死者は330名以上」
嘆く人 悼む人 流す人 殺す人
人々は 何が知りたいのだろう
本当は

***

本当は
名前がある
世界がある
自由がある
責任がある
意味がある
価値がある

***

価値がある
そう思った時間を
集めて 磨いて 信じる
飽きない自分の日々(うた)
時々外す音は苦くも甘く 噛みしめて
勉強もおっぽり出して寝転ぶ




















































































「点滅(負け)」


透明なグラス一杯に矛盾を注いで金魚を飼った
目に映るその赤は余情的


何かが終わった




















































































「あ、は、は」


帰り道 雑木林の遊歩道 


意識もせずに3人並んで  


等間隔に浮かんだ声


その意味に気がつくのは、3年後




















































































「点火」







劇的な何かを求める手が 疼いている




















































































「唯一つ」




「夕暮れ時には帰る、」

ただ母には伝えて。
僕は




















































































「演繹世界」


10数インチの画面を眺めていると目が乾くので
ちりちりと
その感覚を楽しもうともせずに目薬を差す
キーの一つに文字一つ
割り当てられたモノの妙な軽さが心地良く気持ち悪い
まぁ、いい

冬が来たなと思う
来たらなとは願わなかったけど冬は来る
咽喉の乾燥だけがインドアから感じる冬の全てで
のど飴
のど飴
万能薬

少し前
昼時にはいつも隣の部屋から子どもを打つ音と
叱る声、怒声 
また今日もか と 思った
偶然に廊下ですれ違うときの子どもの笑顔

その笑顔


磨り減らない革靴の底
出来損ないのペンだこ
読み終わらない小説に
四年前の自画像
ダブルクリック

地球の地軸が変わったら僕の性格も変わるかもしれません

変わらないかもしれない

余白は真空
とても丁寧に真空

世界って隅々まで丸い

超方法論



ダイブから戻る 非日常な日常


ダブルクリック




















































































「ルーツでありルート」


「ごめんなさい、体調不良で休みます」とメール 
風邪を引いた 精神性疾病
成人式を過ぎても相変わらず自立できない私は
鼻声で母に旨を伝える

小さい頃から


白濁と沈殿した私のこころはいつの日からか曇りはじめて
携帯電話の通じるところ全てが敵のように見えていたその中心は私なのに
朝起きてもう一度まぶたを開閉すれば違う場所にいるんじゃないかと
中途半端な意識で思う
私を全部取り替えたい


なんでどうしていつからなんでどうしていつから 
胸の奥の何かが飛べば身もはじけそうで
その振動が響くたびに私は何かを呪う   「    。」
何なんだ一体 なんなんだ いったい
 



(お昼よ、来なさい)

母に手渡された電気アンカをおなかに抱え
家の中を動くと垂れたコードがまるで


へその緒のようで



泣けた




















































































「流世の語り」


人類が滅びて久しい荒野の中心
ぽつりと浮かんだ吹き出しに
最後の最後にだれかが書き込んだ言葉は風化して
そこに霞んだ消え残りが歌うのは
何だったか
今では誰も読むことは叶わないがただ
貧相な鼠が
記憶の猫に殺されて
ここにたどり着いた時には
ほんの一粒の涙を流した

鋭角な風が吹くこの野には何かが足りない
何かが足りないのだ
それは一筋の小川だった
それは一群の花だった
否、それは一射しの陽光だ

人々は嘆いた
何故我々は救われないのか
何故我々に休息はないのか
一握りの幸福さえ永遠の二字には儚くも遠く及ばない
明日という言葉ほど悲しみを誘うものは無かったのだ

ああ霹靂たる夜が来る
たった一人の若者がこの荒野を彷徨うなら誰か
東へ
と一言伝えてやれ
地面を離れられない小鳥が余力無く泣くのなら誰か
恐怖をさえぎる草木を与えてやれ

慈しめ
一言目に多量の愛を
二言目に至量の温もりを
忘れてはならないのだ
莫大な時間の中で人類は自身の生きる時間をあまりにも無為に括りすぎる
呼吸をするひとときの大切さが明滅する
目を閉じよ
そして目を開けよ
今の全てを
見逃してはならないのだ




















































































「一時停止の観測」





それは例えば
閉園前の遊園地
閑古鳥の鳴くデパートメント
誰も通らない非常階段
埃の積もった工具箱
空気の止まった閉架図書室
星光をただ通し続ける真空空間
やさしいオブラートに包まれた死が横たわる
注意深い憤りに満ちていた時を通過した
熱をうしなったささやかな空論が一言ずつ展開する







「  は  、   。     、ぁ  。」

                 誰人の終局



それは例えば

閉園前の
閑古鳥の鳴く
誰も通らない
埃の積もった
空気の止まった
星光をただ通し続ける




黙々とのぼる大きな薄墨の雲へと
一点の鳥が
飛んでいた




















































































「花火/いつかの」


花火が上がると 君が泣く

瞬間

いつか会えなかった誰かを
そこに見て
いつの日のでもない君は
ここにいて

手は繋いではいけない

誰もいない夏祭り
君が泣くから
花火が上がる
散った後  音のない黒が愛おしい




















































































「モーニングティー」


昔から僕の家では朝は紅茶で
それも普通のティーバッグで作るやつなんだけど
僕はそれが好きだった
透明なお湯に少しずつ漂うように染みていく
あの色が好きだった

自分の世界が少しずつ広がるように
確かめながら手を伸ばしていく様子が危うくて
僕はいつも白いカップを怖々と覗き込んでいた

宝石みたいな赤色に本当に魅せられて
その「今」の色を留めたくてティーバッグを取り出した
こんなすばらしい色だきっとおいしいに違いないと
父にそれを差し出すと、何うっすい紅茶作ってんだ!と跳ね除けられた
カップを覗くとあの一瞬の煌きは無かった


飲む紅茶の甘さは減っていく 減らしていく 減らされていく
銀のスプーンはどこに行ったっけ


今でも僕の家では朝は紅茶で
それも普通のティーバッグで作るやつなんだけど
僕はそれが好きだった

透明なお湯に少しずつ漂うように染みていく
あの色が 好きだったんだ




















































































「「誰の」」


いつか彼の匂いを忘れることを
否定は出来ずに
私はただ台所に立って皿を洗っている
泡を水に流しては
交わした言葉の残影を何処へ置いてきてしまったのか
思い出せずに
いる

まるで
                  「まるで   。」
何だったのか
分刻みに色褪せる記憶を
せめて乾かさないように
涙を流して
しまうよ

あぁ
 


彼の残した遺言は短く
まっている と
真白い便箋に

カリリ カリリ と

細い字で記されていた





そんなことも あった気がした




















































































「飛行機雲が」


飛行機雲が伸びていきます
大きな空を見上げて 残した軌跡に追い越されぬよう
空気を切って伸びていきます
はじまりはいつだったか
忘れられた原点が 今は水蒸気の一粒となり
尾の端から融けていきます

飛行機雲が伸びていきます
団塊の大雲からともがらに別れを告げ
成層圏の刺す冷たさを突きすすみます
いつか大気のどこかで一つになることを信じる
友よ 私の道が見えますか

飛行機雲が

大きな風 伸びる雲
周りが冷たいからこそ 出来ていく白さはより映えて
照る太陽 伸びる雲
そこには何ものも 隔たりはなく
ただ確かめられたつながりがあり

伸びていきます

雲を見上げる人々は
ある人は暖かく
あるいは寂しげに
その前途の正しいことを祈り
ハンケチを振る
一本の飛行機雲が
あの人の
この人の
思いを背に乗せてさらに 伸びていきます

ただ
すすむ先には青い広がりだけが
すすむ先には期待と恐れだけが

飛行機雲が伸びていきます
はじまりはいつだったか
それは遠い昔の際の空
真っ直ぐと貫く白い道
終着にはまだ 早いよう




















































































「林檎葬」


(中央から濡れていく
     ひりひりと)

赤い林檎を剥いて
がぶりと噛み付き一口目
昨日の出来事
不思議な果実の甘さ が
歯に沁みる

涙が
(ひりひりと)

二口目
には 咽喉が焼ける
静かに出来上がった誰も居ない空間が
電撃ヲ走ラセル
一瞬だけ

がぶり


三口目を
飛ばして四口目 引火
追い駆けな かった
26時
電車の通る音 の様な  物
伝導熱の逃げ残りが空気に浮かんでは赤くなり
熟れて堕ちる前に甘く香る


がぶり がぶり が ぶ ri( )


五口目に虚空を噛む
戸 残った靴下 唇 
(芯は捨てないでね) 
果肉を嚥下して胸の中で六口目
通りすぎた酸味を惜しんで
泣いている
 

がぶり
      赤い
 林檎
        不思議な
   味
 がぶり
    林檎
       赤い
      不思議な
  味
   がぶり
     不思議な
    林檎
       赤い
    味
    がぶり
 不思議な
   林檎
 味
赤い


行って
しまった



短い回顧を
真空に閉じ込めて
三角コォナーに放る (gaburi)
簡単な葬儀
謝らなくても良かったのに

寄りかかった白い壁に
林檎の赤い爪




















































































「上げた声」


何者かが
爪を立てて
音もなく乱暴に
青い森を切り裂いていく

静けさの魔性を駆逐して
さざめく命の連続性を絶とうと
想像の上に生きてきた魔獣が
眼を覚ましたのだ
それは自らが赤子のように儚いことを知り
同時に自分が世界のように不朽であることを知っている

朝が来る前にそれはあの峰の頂に立ち
翼がない事を一瞬悲しんで
存在の勢いを増す

誰か誰か(誰か誰か)と
もしも獣のそばにそっと立ち
耳を貸すものがあったなら
口の中で声になる前に噛み潰される叫びを
聞いたかも知れない


轟く
轟く
轟く

猛烈に加速して光を追い越そうと
地面を喰らいながら
獣が獣の四ツ足を爆発させ
走っている
足で地面を雷鼓し
血の流れるもの全てを誅殺せんと
地の果てを目指す

己の牙を己の爪で研ぎ
己の限界を己の怒号で突破


ふいに 失速

海岸の途切れた場所で
獣は自分の名前を知って

死ぬ前に 消えた
そうして今日も 朝が来た




















































































「月を見て泣こうよ」


Dada!有給休暇で北へ行く
スケッチ帳片手に町の端を収集気分で切っていく
そういう暮らしに憧れなくもないね今日の月はやや明るい
あーまたどこか行こうか
あー
また
どこか
行こうか
またね

そういうセリフ待っているよ
僕の右手は空いているから
誰かが隣に来るのを
待っているよ

今日くらいはいいじゃないか、そうそう
また 大人買いしないか衝動を
低音の利いた音楽が流れるように
力入れて今日もキーボード叩く
さく よう よう き!
だだ!
俺は、だ!
だだ!
DADA!
夢見がち






いらいらする してしまう

熱いスープで口を火傷してるみたい
いい加減もうよせ世界どこまで時間を無駄にする
ようく聞け世界 ようく聞け
俺の額からじりじり角が生えるよもうすぐ蝶が舞うよ
その通り明日は雨だが月は出るだろうそのはずだ
だが 泣きたいのは何故だ
それは 君が居ないから
言いたい こと
なんてね
つまらないことばかり
とりあえず千行の文句
とりあえず  
とりあえず
千行の

だだ!

エゴの幸せを第一優先で行きましょう
って言ったのは誰でしょう
だだ!だ!

ほらこうすれば触ることもできる
なんて言って鏡に映った月を握る
ねぇお願いだから嬉しそうにしないで欲しかった
掴めなくてもあの高い月を見てきたはずだった


なんで不思議
要は泣きたい気分
隣に誰か居ない
パーソナルゾーンにおいで
あいつらはしばらく帰らないよ
月に行く前に一緒にあの屋上で泣こうよ

あいつら気づくはずだよ
月に行ってさ
あー月って光ってないんだなってさ
行っちゃったやつの背中見てさ
俺らは泣けばいいんだよ
俺らの背中を見て
泣いてくれる人が居れば
それだけですくわれるよ

あじてーしょんはきらいです
引用開始!終了!即座に不機嫌
そんなことしたって何もできねぇ



そんなことを考えているうちに

まつげの上に涙が光った
細い薬指で頬を撫でて
見つからないものを失った
いつまでもこうしていたい
振り返らないで
起きないあいつらはそのままに
明日になったら誰も居ないよ
広がる円に誰もいれないよ

ねぇ頭を撫でてみて
きっと
寂しくなる



一緒に泣こうよdada
月の裏に楽園をつくろうよdada
メールじゃ無理だねdada
僕の指は何かを探し続けているよdada
何かになってくれよ
dada



(from tukinomieruokuzyou)




















































































「花散り」


桜/が
咲いて/いる

色/素を失った
少女の/(染/み)の/いと、おし/ さ

吸い込まれた/瞳/と深呼吸
/数秒の(儀式)/

殺生/の真理が咲き乱/れ
接吻/の後の
性感、 が/
、 、  /

染/まらぬも/のだけが
その/身/に熔けず
そびえる、桜の下/の
/ 空に 声   鳴る、   宵      (   、)  /




















































































「仮想現実の実感」


かけら、そう、欠片だ
重なり合った煩雑な余情の群れが
核を持てずただひたすらに時間を伴って
固まっていったもの
形の定まらないその塊の欠片を抱いて
彼ら(僕らとも言えるだろう)は生まれて育ってきた

気付けば彼らの立つ場所にはいつも
切っ先のようなビル風が吹く
軋みあがる建築の谷間で
きっと、という言葉をモラトリアムの合言葉にして何かを
築いてきた、つもり

空白
空転
空漠
空行
空想
空欄
空疎
空虚
苦しみのあるなしに関わらず
腐った気持ちは空に行く運命らしい

結果から言えば
軽率な墜落と満ちたりた時間があっただけなのだが
軽蔑と敬愛のはざまで
険しい視線を泳がせることが
賢明な大人になることなのか未だに 、 わからずに



幸福とはなんだ
「こんな時代」なんて代名詞は打ち捨てるべきだ
これは至ってシンプルな問題で
呼吸困難に陥りながらも狭い空を目指して
小汚いビル風を身にはらませて飛びたてるかどうか
怖がらずに勇気を持てるかどうか
懲りずに、生き続けられるかどうか
心得なんて要らなかった筈で
答えなんてなかった筈で
言葉にするのも野暮な筈だった




















































































「エイチピイ」


誰もこない部屋で
ひとりで待っている
時間がじりじりと
過ぎて
短い一日がおわり
部屋の前を通過する
人の数を
ため息の分だけふやす

月がのぼる

部屋を抜ける風に
カーテンがさざめく
誰もこないへやの
誰かが抱える
小さな段ボール箱には
大好きな飴とか
買ってきた新品のゴムボール
また会おうねと
伝えるための古い便箋が
ただ
入っている

月がのぼる

声が
聞こえたような気がして
そっと立ち上がり
耳をすませる
隣の部屋で
知らない誰かと
知っていたかもしれない
誰かが
いつまでか
話している
静かな部屋に
伝わる音がこだまして
こだました

月がのぼる

いつかくる
誰かを迎えるための
たのしい歌を練習して
短い一日がおわる
誰かがこない部屋には
明日も誰もこない
誰かがくる部屋には
明日も誰かくる
そういうことを
忘れないよう
いつか書いたメモが
部屋の隅で
くすんで

月がのぼる

少しの笑い声に
涙をながして
多くの生まれなかった別れを
惜しんでは
やってこなかった一日を
繰り返し
繰り返し
一呼吸に三千の祈りと
かなしみの既知感


欲望ということばの
ひたむきさ



風が運んできた砂粒には
知らない場所のにおいが



月がのぼって
雲が時間をきざむ
おぼろげに映った月の影が
部屋に落ちては
かき消えていった